活動報告

活動

<東北サイエンス・つくばサイエンスツアー> 報告

実施日時  7月31日(月)~8月2日(水)2泊3日
実施会場  東日本大震災・原子力災害伝承館、東北大学工学部、筑波実験植物園、森林総合研究所、筑波宇宙センター
参加生徒  1学年29名、2学年11名 計40名
内  容
(1)東日本大震災・原子力災害伝承館訪問
福島県立福島高等学校の生徒の皆さんとともに語り部の方の講話をお聞きしたのち、伝承館内を見学しました。語り部の方の「建物などかたちあるものを失った悲しみは再建に向けて努力すれば2、3年で解消できる。しかし、人間関係など、目には見えない大切なものを失ったものは取り戻すことが難しく、喪失感が年々大きくなっている」という言葉は、被災したすべての人々の気持ちを代弁したものであり、生徒たちの心に残ったようでした。伝承館は震災発生以前の福島第一原発の完成から時系列で展示物が配置されており、震災の事実、復興の現状・課題を追体感できる内容になっていました。
(2)福島県立福島高等学校との交流会
前半は2グループに分かれ、各校の課題研究ポスターの見学を行いました。それぞれが興味のあるポスターに集まり、研究者の説明を聞き、意見交換を行いました。
後半は福島高校、屋代高校の生徒で混合のグループを10班つくり、「災害の記憶の伝承はどのようにして行うべきか」をテーマにディスカッションを行い、最後に全体共有を行いました。初対面でも各校の生徒はすぐに打ち解け、伝承館見学の内容も踏まえて活発に意見を交換し合いました。震災当時は幼かった世代ではありますが、震災を他人事のように扱わず、一人一人が考えて後世に伝えていく重要性を認識することができました。
(3)屋代高校OBとの交流
屋代高校卒業生の3名の先輩との座談会が行われました。大学生の自己紹介の後、3グループに分かれ、交流しました。高校生の質問に答える形で進められ、勉強方法や勉強のスケジュールなど積極的に先輩に質問していました。
(4)東北大学工学部訪問
東北大学工学部は5つの学科から成り、学科内もさまざまなコースに分かれています。はじめに中村肇教授(入試広報)から東北大学工学部の全体についてご説明いただいた後、以下の3学科について、それぞれご説明、ご講義いただきました。
① 電気情報物理工学科:中村健二教授(屋代高校OB)からモータ・発電機の高性能化に関する研究、特にトルクやエネルギー効率の良い非接触磁気ギヤについてご講演いただいた。また、大学入試に関する情報、研究室の情報も説明いただいた。
② 化学・バイオ工学科:青木秀之教授から噴霧燃焼のメカニズムや噴霧塗装の制御因子に関する研究についてご講演いただいた。工学の効率化を支える新しい技術を化学的な視点から探究する「化学工学」の世界を紹介いただいた。
③ 材料科学総合学科:小原良和教授から材料科学総合学科についてご説明いただいた後4グループに分かれて各研究室を訪問した。屋代高校OBの大平拓実さんが在学中に投稿した論文を紹介していただいたり、強大なプレス機で金属の加工を行う様子を間近で見せていただいた。
生徒は大学の授業を体験でき、研究について興味を深く聞いていました。また、学食で食事をとったり、研究室で大学院生に研究室での生活を伺ったり、前日の屋代高校OBとの交流会も合わせて、大学進学への意識づけとなりました。
(5)筑波実験植物園
国立科学博物館が植物の研究を促進するために設置した植物園で、生きた多様な植物を収集・保全し、絶滅危惧種を中心とした植物多様性保全研究を推進しています。奥山雄大研究員より、埼玉県越谷市原産で野生下では絶滅してしまったコシガヤホシクサの保全と野生復帰に向けた取り組みを例に植物園の取り組みをお聞きし、植物を収集保全することの意義を教えていただきました。
あらゆる生物が生物多様性の中に身をおき、他の生物の存在なしに生きることはできません。とりわけ人類は、他の生物よりもはるかに多くの植物より恩恵を受けており、人類が将来も生き続けるために、植物の多様性を知る・守る・伝えることが大切です。園内の様々な貴重な植物を観察することで、生徒たちも植物、ひいては環境を保全することの意義を感じることができたと思います。
(6)森林総合研究所見学
久保山裕史博士に「日本林業の過去、現在、未来」と題して講演いただいた。1960年代からの日本林業を振り返りながら、国産資材が海外産資材に押されてしまっている現状と、今後はどのような展望が望まれるのかを伺いました。
高山範理博士には「森林浴からデジタル森林浴へ」と題して講演いただいた。森林浴の効果について、実験データ(免疫活性効果、心理的回復効果)をもとに分かりやすく説明いただき、今後どのような発展が見込まれるのかを伺いました。全国的にも森林サービス産業が発展しており、森林浴の聖地と呼ばれている長野県。生徒たちにとって資材源として以外の森林の価値、ひいては故郷の長野県の魅力を認識する良い機会となりました。
(7)筑波宇宙センター
展示館「スペースドーム」を見学しました。人工衛星や本物のロケットエンジン、日本実験棟「きぼう」の実物大モデルなどを間近に見学し、ロケット広場ではH-IIロケットの実機をバックに記念撮影を行い、ロケットの実寸の大きさを実感しました。
半世紀以上の歴史をもつ日本の宇宙開発を身近に感じ、現代の宇宙工学の発展を実感することができました。また、実物の人工衛星やロケットエンジンを見ることで宇宙への興味や関心をさらに深めることができました。
<生徒感想>
・福島高校との交流では、違う県の子達と意見を交わして自分の視野を広げるいい機会になった。東北大学では大学の研究などを見してもらい、あまり沸いていなかった大学へのイメージがついたし、筑波では、貴重な植物や、森林についてや宇宙について知る事ができた。ここまで貴重な体験が出来る事はできないので、機会があれば来年も参加したい。
・自分の進路(やりたいこと)をもっと深く考え、より真剣に自分の将来を考えなければと感じた。また現地の人と直に話を伺うことで、大学の生活の様子や受験でのあるべき態度を学ぶことができた。自分の中で大切な研修になりました。
・初めてのオープンキャンパスで、分からないことも多くありましたが、専門的なお話をたくさん聞くことが出来て、貴重な経験ができたと思いました。福島高校との交流でも、災害について深く両校共に考えることが出来たと思うので、良かったです。充実した3日間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。

<科学に親しむ教室> 報告

実施日時  7月28日(金)
実施会場  戸倉創造館
参加生徒  屋代高校 2年生4名、1年(理数科)5名
参加児童  小学生(1-6年生)16名 および 保護者8名
実験内容  ①お花の色が変わるよ
②炭酸水を作ろう
③割れにくいシャボン玉
④ろうそくが燃える仕組み
内  容
今年は、高2の課題探究グループ「子供たちに科学の楽しさを伝えたい」の生徒達を中心に内容の企画と当日の進行を実施しました。小学生に指導する貴重な機会として、理数科1年生および高3生にボランティアを募り、1年生5名が参加しました。
事前準備として、6月に戸倉創造館を訪ねて使用する部屋を決めるなど打ち合わせを行ったほか、夏休み前最終日の放課後を利用して、探究グループとボランティアの打ち合わせも行いました。
 当日は、小学生3,4名と保護者数名のテーブルを5つ作成し、探究グループがスライドを投影しながら進行しました。各実験のちょっと不思議な内容を体験してもらった後に、小学生に分かりやすいようにスライドで説明しました。子どもたちは、問いかけに元気に答えながら、楽しい雰囲気の中で実験を行いました。「シャボン玉はなぜ下に落ちていくのか」など、よい質問が低学年の児童からいくつもでてきて感心しました。それに対して「口から吐く空気は、この辺の空気より少し重たいので落ちていきます」など、小学生が納得できるぐらいの返答ができており、しっかり対応することができました。
<生徒感想>
・科学に興味のある子供が多くいて、「どうしてそうなるか」という疑問に答えるために自分の知識をもっと増やすべきだなと感じました。また、実験をするときの説明書(分量が書いてある紙)で思ったことがあって、過程が書かれていなかったり写真がなかったりして、家庭で実験をしようと思ったときに分かりにくいのではないかと感じました。
・子どもたちが積極的に発言して協力してくれたり、楽しんで実験したりしている様子を見ることができてよかった。科学の楽しさが子どもたちに伝わっていく様子が実感できた。
・2年生の先輩方の、子どもたちを楽しませたいという気概を強く感じ、今回の企画のために細かい部分まで準備してくださっていることが、凄いなと感じました。今回はサポート役としてお手伝いさせてもらったのですが、子供たちが楽しそうに実験をしている姿を見て、私も楽しむことができましたし、科学の楽しさや、面白さを改めて実感することが出来たので、良かったです。このような企画に参加させて頂きありがとうございました。

<アカデミックサイエンス 東大木曽観測所実習「星の教室」> 報告

実施日時  7月13日(木)~14日(金)
実施会場  東京大学木曽観測所
参加生徒  高校2年理数科
講  師  東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センター木曽観測所
       助教 高橋 英則 氏   
助教 新納 悠 氏
京都大学理学部 学部2年 大平 達也 氏(TA)
信州大学理学部 学部4年 渡邊 一樹 氏(TA)
内  容
「寝覚めの床」見学
1日目
 ① 講義
 ② 構内見学(105cmシュミット望遠鏡の見学)
③ 実習1 「視角をつかって距離を測る」
④ 実習2 「銀河までの距離を測る」
⑤ 実習3 「宇宙の年齢を求める」
2日目
⑥ 発表会(Googleスライドを用いたグループ発表)
⑦ 講評
  コロナ禍では3年間、屋代高校開催が続きましたが、今年は4年ぶりの現地開催となりました。
木曽観測所へ向かう途中に立ち寄った「寝覚めの床」では、北信地域では見ることのできない、花崗岩の白い河床と、その花崗岩に発達した節理を観察することができました。
  木曽観測所での「星の教室」では、「宇宙の年齢を求める」をテーマとし、講義、実習、グループディスカッション、発表会を実施しました。また、観測所の誇る巨大望遠鏡も見学させていただき、その大きさに圧倒されました。
宇宙の年齢は、最終的には非常に単純な計算によって求めることができます。しかし、その単純な計算に到達するまでには、データを収集・分析・解析したり、論理的に前提条件を定めたりする必要があり、どのグループも非常に活発な議論が夜遅くまで交わされました。発表会では、各グループの熱論の成果を、模式図やデータなどを活用したスライドで伝えることができました。結論はどのグループもほぼ同じものとなりましたが、それに至るプロセスや理論は様々であり、グループごとの色を感じられました。講師の先生方やTAの方々に親切な助言をいただきながら過ごした2日間は、大学での学びを先取りするようなもので、生徒たちにとって非常に新鮮で、刺激的なものでした。
<生徒感想>
・宇宙は未知の世界で、基礎知識がゼロからのスタートだったが、班で協力して1つの難問に向き合うことができてよかった。研究というとのがとういうものなのか実感でき、とてもいい機会になった。
・ただ答えを出すだけでなく、そこに行き着くまでの過程を考えるのが難しかったけど、グループの人と話し合ってたり自分で疑問に思ったりしてどんどん考えをふくらませていくのがとても楽しかったです。
・天候の不都合もあり、夜に星を見られなかったのは残念だったが、貴重な体験ができた。さまざまな考えがありおもしろかったし、勉強になった。研究のうえで、論理的に考える力が身についたと思う。
・宇宙の広がり方、銀河の動き方において様々な考えを出し合ったり聞いたりすることができ、とても面白い実習でした。今後も宇宙の形や広がる向きについて思考を重ねていきたいです。

<SSH 統計講演会> 報告

実施日時  7月5日(水)
実施会場  中学棟講義室(中学1年生)・2棟パソコン室(高校1年理数科)
講  師  茨城大学教育学部 教授 小口 祐一 先生

内  容
  「ICTを活用した統計的探究-統計グラフコンクールの重要ポイント-」という演題でご講演いただきました。統計グラフコンクールなどに出品することを目標として、具体的な入賞作品を通してデータの収集方法やデータ分析の手法PPDACサイクル(Promblem,Plan, Data,Analysis,Conclusion)についての解説を受けた後、昨年度のコンクールの作品を見ながら、作品の良い点や修正した方がいい点などの解説をしていただきました。統計グラフコンクールの応募への動機づけになりました。(ここまでは、中学生・高校生共通の内容)
その後、高校生はSSDSE(教育用標準データセット)のエクセルデータファイルを用いて箱ひげ図やヒストグラムを作成、分析する演習を行いました。エクセルで簡単にグラフを表示できること知るなどパソコンソフトを使うことにより、簡単にデータの分析ができることにびっくりしながら、楽しく演習に取り組めました。
<講師より>
高校生の皆さんは、統計グラフコンクールへ強い関心を持って参加していただきました。自分でデータ分析をする際には、友だちと話し合って正しいグラフ表現ができるまで粘り強く取り組む姿が印象的でした。
中学生の皆さんは、統計グラフコンクールの優秀作品を丁寧に鑑賞して、自分たちはさらに良い作品を作ろうとする意気込みが伝わってきました。初めて見るグラフからもデータの特徴を的確に捉えていました。
屋代高等学校、附属中学校の生徒さんが、統計グラフコンクールに全力で取り組み、統計的探究の力をさらに伸ばしてくれることを楽しみにしております。とても充実した時間をありがとうございました。頑張ってください。
<生徒感想>高校生
・Excelの凄さがよく分かりました。データを統計するときにものすごく便利だと学んだので、一人一研究にも活かしたいと感じました。
・グラフを使って整理することで分析がしやすくなることがわかった。用途によってグラフを使い分けれるようにしたい。
・データがグラフコンクールや一人一研究などでどのように使えるのか学ぶことができた。Excelを使った計算方法やグラフの出し方も今まで知らなかったのでこの機会で使えるようになれてよかった。一人一研究などを通して実際に自分のテーマにあったデータを使っていけるようにしたい。

<生徒感想>中学生
・今回の講習で、ppdacサイクルを実際に使ってまとめている作品を解説付きで見れたので参考になった。また、4つのグループに分けて考えているところが良いなど、どんなところが評価されたのかなども知れたので良かった。効果的なグラフの種類を教えてもらえたのが作るのにあったって参考になった。
・統計グラフコンクールでは適切なグラフを使いたいです。ひと目見てわかりやすいような物を作りたいです。

<科学の教室(理数科展)> 報告

実施日時  7月1日(土)・2日(日)
実施会場  3棟3階理科実験室
参加生徒  理数科1・2年生
実験内容  ・ホットアイス、酢酸ナトリウムを用いた再結晶
      ・疑似火山
      ・偏光板を用いた実験
      ・八重かざぐるまの原理とプレゼント
      ・液体窒素の実験
      ・化学マジック~暑い夏に涼しい実験を~
      ・バスボム作り(子どもたちと一緒に)
内  容
今年の鳩祭は、入場制限などは行われず、外部からの来客者が多く来校されました。科学の教室(理数科展)はその中の一つのイベントとして行われました。冷房をかけながら窓も開け、換気に十分気を使いながら、満員の観客たちを感心させたり、驚かせたり。子どもたちにはプレゼントがあり、バスボムを一緒に作る企画も大うけでした。これで本校理数科を目指してくれる子が増えると良いなぁと思います。本校理数科の生徒達が、実験・実習を多く行っていて、科学大好きであることは間違いなく来客者に伝わったと思います。指導された先生方もお疲れさまでした。