活動
<アカデミックサイエンス連携講座> 報告
実施日時 11月30日(木)
実施場所 屋代高校3棟2階理科講義室 附属中学校講義室
講 師 横山祐典 教授(東京大学 大気海洋研究所 高解像度環境解析研究センター)Jody Webster 教授 (シドニー大学)
参加生徒 2年理数科(39名)、シドニー研修参加者(10名)、附属中3年(80名)
内 容
午前は両先生が揃って2年理数科対象の講義を行い、午後はシドニー研修参加者対象にWebster先生が話していただき、中学3年生対象に横山先生に講義していただきました。
2年理数科対象には、地球温暖化を題材に、横山先生の大学での研究成果を交えながら講演をしていただきました。COP28で国連までが阻止しようとしている温暖化の科学的根拠は何なのか。様々な方法で世界的に得られたデータを示しながら、生徒と対話を交えながら説明していただきました。実際に観測機で測ることのできない過去の気温や、二酸化濃度については、古文書・木の年輪や海中の珊瑚・南極氷床コアの気泡分析、年代の測定には放射性同位体である炭素14を使うなど、多種多様な手段が用いられていました。二酸化炭素濃度と平均気温の間には確実な相関があり、現在は人為的影響があり二酸化炭素濃度が400ppmを超えていて、過去10万年で最も気温が上昇している危機的状況であることの科学的根拠が示されました。
Webster先生の所属するシドニー大学理学部は、世界遺産「Great Barrier Reef」における調査研究が許されている世界唯一の機関です。Webster先生は英語で講義をされましたが、一部横山先生の研究と重なる部分のサンプルが示されている場面が印象的でした。
<生徒感想>
・大きくは二酸化炭素は悪者かという問いかけでお話をお聞きすることができた。地球上に大気がないとどうなるかなど、研究活動においての過程も参考になりつつ、とても貴重なお話を聞けて、色々考えさせられた。気候変動について、これからも考えていきたい。
・もう少し科学の専門用語の英語を勉強しようと思いました。
・気候変動に関する研究をわかりやすく教えてくださるだけでなく、研究を進める上で大切なことを丁寧に説明してくださって、大変勉強になりました。
・今回の講演では時事話題であるSDGsと、環境をかけてわかりやすく紹介してくださり、興味を持って聞くことができたのと同時に、「なぜか?」を探求することによって新たな発見があるということも質問形式で間接的に説明してくれていたのではないかと感じます。
・貴重な動物性プランクトンが見れてよかったです。海のクレヨンプロジェクトについて調べたいと思いました。
<サイエンステクノロジーコンテスト〉 報告
実施日時 11月12日(土)
実施会場 信州大学理学部(松本キャンパス)
参加者 2年:普通科7名 理数科7名 1年:普通科8名 理数科8名
日 程 10:00~12:00 筆記競技 物理・化学・生物・地学・数学・情報
13:30~15:30 実技競技 作成、コンテスト
内 容
筆記試験は、理科(物理・化学・生物・地学)、数学、情報の中から、修得した知識をもとにその活用について問う問題で、知識に加えて思考力や論理的な記述力を必要とする内容でした。本年は昨年度より1チーム多くエントリーして望んだが、結果は思うように振るいませんでした。
実技競技は、理科、数学、情報にかかわる実験、実習、考察など、科学技術を総合的に活用して、ものづくりの能力やコミュニケーション能力などにより課題を解決する力を競い合うものでした。そして、1チームを二つに分け、それぞれコンテストを行いました。課題は、段ボール箱・ボール紙を細工し、紙の弾性力を利用して、粘土玉を指定された目標位置に置かれたコップに入れるというものでした。弾性力をいかにうまくコントロールするかが鍵で、生徒たちは苦戦を強いられたようでした。
総合順位は、筆記・実技それぞれの点数の合計点で決まるのですが、実技点が順位に大きく影響します。屋代Bチームが総合6位と健闘しました(参加校10校 21チーム)。参加された生徒の皆さんと引率された先生方、お疲れさまでした。
成績
屋代Aチーム 総合13位 (筆記16位 実技5位)
屋代Bチーム 総合6位 (筆記9位 実技3位)
屋代Cチーム 総合13位 (筆記12位 実技14位)
屋代Dチーム 総合18位 (筆記18位 実技14位)
<生徒感想>
・課題にみんなで取り組む経験はあまりなかったので、予想より楽しい時間を過ごせた。また、問題も実生活に関わっているようなもので、難しかったけれど解いていて面白かった。
・私は実技に参加しましたが、制作時間40分の中で、試作品と同じものを作ることが厳しく、粘土をあまり飛ばせず悔しかったので、次回参加する機会があれば、時間内に完成できるものを用意していきたいと思いました。今回の参加は、とても良い経験となりました。
・初めて参加しましたが、チームで協力し合って問題を解いたり、実技試験に取り組めたりして、とても楽しい経験でした。生物の問題は難しかったので、勉強してもっと解けるようになりたいと思いました。
・協力してテストを解くという経験が初めてで楽しかった。実技で、他の学校の装置を見ることで思いつかなかった考えを見れて面白かった。来年は表彰されるよう頑張りたいし、また参加したいなと思いました。
・みんなでアイデアを出しあって、ものを作るのが楽しかったです。とても良い経験になりました。
<アカデミックサイエンス実習> 報告
実施日時 11月2日(木)
実施会場 上越科学館 糸魚川フォッサマグナミュージアム・ジオパーク
講 師 永井克行氏(上越科学館 館長) 郡山鈴夏氏(フォッサマグナミュージアム)
参加生徒 2学年理数科(39名)
内 容
上越科学館 (サイエンスショーの見学・実験室での体験実験)
サイエンスショーでは、酸化・燃焼の実験で、物が燃えるには酸素が必要という、ごく初歩的なテーマを取り上げて、大きな丸フラスコに酸素を入れ炭素を燃焼させる実験や、二酸化炭素から酸素を奪って燃焼するマグネシウムのドライアイスのランタン実験、最後に水素爆発の実験を行いました。歓声の上がる実験で締めくくる科学ショーを体験した後、4人1班で過冷却水とアルミ缶の中でダイヤモンドダストを発生させて観察する実験を行いました。
フォッサマグナミュージアム(講義・館内展示見学・構造線見学)
フォッサマグナ形成・糸魚川構造線などについての講義をしていただいた後、館内の展示物の見学をしました。次にバスで移動し、約1時間をかけて、溶岩の流れや糸魚川-静岡構造線の断層等を実際に見学しました。
<生徒感想>
・とても楽しかったです!学校で学ぶだけではなく、外に出て実習を行うことがとても良いなと思うので続けて欲しいです。ありがとうございました。
・実験や観察等で自分の予想とは違う時に新しい発見があり、良い学びとなった。過冷却水の実験では失敗したけれど失敗から学ぶこともあった。今回の学びをこれかにも繋げていきたい。
・フォッサマグナミュージアムで実際に色々な鉱物の結晶とか紫外線によって光る色が変わる石を見ることができたのでとても興味が高まったし、フォッサマグナでも土とかを触って粘土みたいになってるのも分かった。見学時間とかが短いと思ったからもう少し伸ばしてほしい。
<バイオサイエンス特別授業> 報告
実施日時 10月10日(火)
実施場所 屋代高校附属中学校講義室
講 師 中村浩志 先生
(信州大学名誉教授 ・中村浩志国際鳥類研究所代表理事 本校OB)
参加生徒 1年理数科(41名)、シドニー研修参加者(10名)、附属中2年(80名)
内 容 「長野県の希少鳥類の生態と保護」
中村先生の千曲市での幼少期の経験、高校生時代には考古学や発掘に夢中になっていたことから始まり、研究者としての経験を話してくださいました。カッコウの研究では、ScienceやNatureに掲載されるような新発見をされたこと、恩師の研究を引き継ぐ形でライチョウの生態を研究されてきたこと、生態を理解したうえで保護活動を行ったために、長野県でのライチョウの個体数を増加させることができたこと等を話していただきました。
高校生対象の講義では、質問の時間が取れて、資金面の話や舞台裏の話まで答えてくださいました。中学生でも理解しやすい内容ではありましたが、お話の裏には多くの苦労や秘話が隠されていると思いました。
<生徒感想>
・今回の講演を受けて、絶滅危惧の野生動物を救うには早めに手を打つことが大切だと分かった。
・今まで自分があまり関わってこなかった分野の講義だったので、初めて知ったこともあってとても面白かった。そして、先生の行動力もすごいと思ったし、自分も大学生になる前までに色々な経験をして、何かのきっかけになればいいと思った。
・もとから生物には少し興味があったのでとても楽しみにしていました。雷鳥が絶滅危惧種だということは知っていたけれど今日の講演を聞いて思っていたよりも危機的状況だった事がわかりました。
・検証のところではすごい面白く感じ将来自分のやりたいことを早く確立させたいと思いました。
・あんまり鳥について興味はなかったけれど今回の話を聞いて少しだけ興味を持った。自分の知らない世界がまだ広がっているんだなと思ってもっと色々知りたいと思った。
・鳥の習性について知ることができた。興味のもったことに対し長年探求し続けているところがすごいと思った。私も見習っていきたい。
・ライチョウが減ってしまっているのは元はと言えば地球温暖化が原因で、人間のせいだから、人間が救うのは絶対に必要だと思う。とても興味深い内容だった。
<ミニフォーラム> 報告
実施日時 9月29日(金)17時~20時
実施場所 屋代高校地学教室 天文ドーム
講 師 高橋英則 先生
(東京大学大学院理学系研究科 天文学
教育研究センター ・木曽観測所)
参加生徒 シドニー研修参加者(10名)、
天文班員(12名)
内 容
7月の「星の教室」で2年理数科がお世話になっている東大木曽観測所より、高橋先生をお招きして、SSHサイエンスミニフォーラムを開催しました。お話は、イントロダクション(木曽観測所の紹介、チリのアタカマでの南天)に続いて、南半球での実習案の提案(南半球の星座・プロキシマケンタウリを撮ってみる・星を使って地球の大きさを測る・マゼラン銀河観察・ふたご座流星群カウント・地磁気の伏角偏角を測定)、そして機器の使い方(カメラ・ポータブル赤道儀)という順に、丁寧なスライドで説明していただきました。高橋先生ご自身がチリの天体観測を行っており、実体験に基づいたお話はとても興味深く、3時間はあっという間に過ぎてしまいました。少し曇っていましたが、大きな月も見ることができました。
受講者については、今回はシドニーでの実験の話をメインに行ったので、シドニー研修参加者と天文班に限って行いました。天文班はこの後に合宿を行いました。
<生徒感想>
・天体知識だけでなく、天体撮影についての説明があったのがとても良かった。
・ふたご座流星群など⚪︎⚪︎座流星群という名前がどうして星座の名前がついているのか不思議に思っていたので知ることができて良かったです。
・普段はそんな気にすることもなく生活していたのでそのなんでこんな写真が撮れるのか?などわかったことがたくさんあるので、それを生かしてシドニーでもとってみたいです。
・長野とシドニーのそれぞれの見える星の範囲や、見え方の違いが分かり、いつか南半球でも星を見てみたいと思った。星雲や流星群のしくみをより詳しく知ることができ、理解が深まった。今後の観察にも大変役立つ講演となり、良い経験となった。