科学リテラシーや総合的な学習等

ディベート学習

 11月に入ってから、2学年の「科学リテラシー」では、実践を通してディベートを学んでいます。ディベートとは、どんなものなのでしょう。まず、肯定側と否定側に分かれ、それぞれの主張を展開します(立論)。その後、相手側から質疑を受け、次に相手の主張の根拠を上回れるように主張を展開します(反駁)。これを肯定側、反対側それぞれが2回繰り広げ、ジャッジとなります。立論や反駁の主張の仕方にもルールがあり、それに従って進めて行きます。授業では、学校生活の中からテーマが与えられ、1つのテーマについて9~10人が肯定側と否定側に分かれ、必要なデータ等を調べ、作戦を練っています。今後どんな主張が展開されるのでしょうか。
「きちんとした話し合いの訓練を」
 普段、友だち同士で気軽におしゃべりをすることはあっても、少し真面目な話とか真剣な話などを時間をかけてきちんとする機会というのは案外少ないのではないでしょうか。これは、話し合いの技術というか、きちんとした話をする訓練が足りないせいなのかも知れません。
 「おしゃべり」と違って、真剣な話し合いというのは、相手の話を聞いているようでいて、実は相手の話の中に自分が共感できる部分だけを聞いているそうです。逆に、共感できない部分は「どうもおかしい」と感じているらしいのです。つまり、相手の話をそのまま受け取るのではなく、いつでも自分が相手の話を取捨選択しているということです。
 相手の話をありのままに聞く、というのは実に難しいことです。大抵の人は自分が納得していることを聞いています。しかし、これでは今までとは違う新しい考え方とか自分と立場の違う人の気持ちなどが分からないままになりますから、少しも進歩しません。自分の成長に必要なのは、実は自分と違った考え方とか自分が気付かずにいたことなのです。
 最後まで相手の話に賛成しないのがディベートの基本ですが、そのためには相手の話をありのままに聞き取らなくてはなりません。そこが、真面目な話し合いをする訓練になるはずです。

修学旅行(京都大学)

 3学年では、10月27日(火)から29日(木)まで80名全員で修学旅行に行ってきました。
 2日目には、京都大学にて、学生の方に構内や博物館を案内していただきました。生徒たちは何年後かの自分の姿と重ね合わせながら(?)、最高の体験ができました。

~生徒の感想より~
  • 京都大学では、1つの学校とは思えない規模にただただびっくりしました。看板についてやサークルなどについての話も聞けたので良かったです。博物館では、武家の文書があり、嬉しかったです。学生さんや教授の研究への熱意が伝わってきました。

戸隠地質化石博物館実習

 10月30日(金)、1学年は戸隠にて地質化石博物館実習を行いました。地表に露出した地層を実際に見たり触ったりすることで、普段は感じることの少ない「大地の力」を感じ取ることができました。「地層は大昔の地層の日記」との言葉の意味に思いをはせる実習となりました。また、博物館において化石についての実習も行いました。かけがえのない地球を感じるとともに、今後の理科の学びへの関心も高まったことと思います。

<能登臨海実習の「班別追究テーマ」まとめの様子から>

 「主体的・協働的・創造的」、これらは1学年の能登臨海実習を貫くキーワードでした。これらの力を、能登臨海実習後の学校生活の中でも更に伸ばしていくことが大切です。

 現在は、能登臨海実習での調査活動のまとめを各グループで行い、発表会や意見交換をらしながら提言を練り上げている段階です 。
 今後は、パソコンでのプレゼンテーションづくりに向けて活動をしていきます。

能登臨海実習

能登臨海実習大成功

 新幹線の金沢延伸に合わせた課題設定を行い、調査学習メインとした能登臨海実習を行いました。これからの1年生の可能性を示唆する活動となりました。

1日目

 

 ・YKKセンターパークを見学しました。ファスナーには3種類のタイプがあることや,水を通さないファスナー,宇宙関連で使われるファスナーなど,その作り方や仕組みに多くの生徒が興味を持ちました。

・次は,A・B組が空港と黒部市地域観光ギャラリーに分かれて見学を行いました。空港では,自分たちが調べてきた,「新幹線開通による長野県民にとっての富山きときと空港の利便性」をプレゼンテーションし,空港の説明をお聞きしました。黒部市地域観光ギャラリーでは,「着地型商品の開発」という,「40年の夢」のための地域を挙げての取り組みを教えていただきました。

・富山駅では、1回目の本格的な調査活動(インタビュー)を行いました。初めは声をかけることに戸惑っていた班も,周りのグループに刺激され,積極的に活動するようになっていきました。

・本日最後の見学地は,イタイイタイ病資料館でした。これまで授業で積み重ねてきた学習を踏まえて,被害者の苦しみや,地域の団結を学び直すことができました。語り部の方の「お嫁に来た私を気遣ってくれる本当に優しいおばあちゃんでした」という話が心に残りました。

・宿舎に着いてからは、本日最後の活動「天体観測」を行いました。晴れ渡った夜空に浮かぶスーパームーン,天文班の生徒による「国による月の見え方の違い」を聞きながら、じっくりと夜空を観察できました。その後は,夏の大三角形についての解説を聞き,こと座のベガ,わし座のアルタイル,はくちょう座のデネブの位置関係を指さし確認しました。


2日目



・本日のメインの活動である輪島朝市見学のため、早めに宿を出発。現地へ到着すると,既に通りは観光客で盛り上がっていました。早速,調査費用を握りしめ,お店のおばあちゃんたちとの交渉です。安くしてもらったり,枚数を多くしてもらったりして干物を購入,食事係が責任を持って七輪コーナーで焼きました。あまりのおいしさに「うまい!!」の連発,その姿に他の観光客の方も笑顔に。当然,商店の方もうれしそうな表情で,朝市の歴史を説明してくれたり,名刺を下さったりしました。帰校後の学習の幅が広がりました。

・食べてばかりいたわけでは無く,当然インタビュー活動も実施。地元の方も観光客の方も優しい方ばかりで,みなさん親切に答えて下さいました。

・次の見学地は「コスモアイル」。核ミサイルを転用した間に合わせの宇宙船の話や,着地直前に脱出する今では考えられないリスキーな帰還方法など,興味深く話を聞くことができました。月を中心とした米ソの宇宙開発競争を物語る展示物が,前日の月観察とつながりました。


3日目


・3日間は、本実習の集大成となる金沢班別行動でした。整美係を中心とした全員の努力により,早めに宿を出発,現地到着時間が40分も早くなりました。しかし,お弁当が間に合わないことが判明。そこで、生み出した時間を有効利用しようと,弁当は活動前配布から,活動途中での受け取りに変更しました。このトラブルにも上手に対応し,全ての班が弁当を受け取り,観光客へのインタビューを行いながら全員が時間通りに集合できました。

・最後は金沢駅での調査活動です。すでに十分な調査が行えた班では,記念写真を多めに撮る姿も見られました。ここでも時間通りに集合することができ,新幹線ホームへ。長野までは1時間と少し,あっという間の帰路となりました。駅からはそれぞれの方法で家まで,ほとんどの人がすぐに寝てしまったのではないでしょうか。十分にやりきった3日間となりました。

学習合宿(信州大学教育学部での模擬授業)

9月29日(火)30日(水)の2日間、3学年は学習合宿を行いました。 

晴天と秋らしい清涼な空気に包まれた29日は、信州大学教育学部でキャンパスツアーを体験しました。まず八木准教授から、「大学」というものについて説明をいただきました。

 ~生徒の感想より~ 
  • 大学の授業が選択式だということを初めて知り、少し大学受験に近づいたかなと思った。意外と知らないことがたくさんあったので、これからはよりアンテナを立てて、情報を集めたい。
  • 信州大学のキャンパス見学では、図書館の中がすごかった。古い本ばかり揃っていて、今ではなかなか見られないような資料まであった。正に、宝の山だった。
  • 信大へ行って、本気で大学について考えようと思った。今までは特に将来の夢も決まってなくて適当だったけれど、しっかり考えるきっかけになった。あと、PISA型読解力を身につけたい。

職場体験

 1年生のときの職業適性検査や職業調べから自分の将来について考え始め、2年生になって本格的に「14歳の問い」を考えてきました。その集大成となる職場体験学習が、9月29日・30日に行われました。本年度は東北信地区の47事業所にご協力を頂き、職場体験学習を行うことができました。
 普段の学校生活とは異なった環境での体験となったため、最初は緊張している様子でしたが、徐々に仕事にも慣れ自ら何をすればよいのかを尋ねるなど、積極的に仕事を進めていく姿がみられました。
 2日間の体験を通して、自らが設定した「14歳の問い」の答えは見つかったでしょうか。各職場の方々から「事前にしっかりと勉強してきている」、「意欲的に取り組んでくれた」などのお褒めの言葉を頂きました。

~生活記録から~
  • 無力。この一言が私に響きました。病院の見学中に救急車が1台来ました。私は何もわからないし、何もできませんでした。ただ見ているだけでした。それはどうしようもないことなのに、でもなぜか悔しかったです。すぐそこに苦しんでいる人がいるのに、見ていることしかできない。本当に悔しくて、もっともっと勉強して知識を身につけて、人の役に立てる人になりたいと心から思いました。病院とは、医師とはそういう仕事なんだと身にしみてわかりました。この悔しさを忘れずに知識と技術を身につけて、あの場に立って役に立ちたいと強く思いました。

棚田体験学習(稲刈り)

 2学年では、地元の姨捨で、6月9日に田植えを行い、9月28日に稲刈りを行いました。このおよそ4ヶ月間、名月会の皆さんに草刈りや水の管理などを行って頂いたおかげで、立派に実った稲を刈ることができました。
 稲刈りの前に、姨捨の棚田に水を供給している水源を見学しました。その見学の中で、森林保全の一環として森林伐採を行っている様子を間近で見させていただきました。間伐を行って森林を守っていくことが、水源の保全につながり、それが棚田の保全にもつながっていくということを改めて実感しました。

 稲刈りの作業では、稲刈り、束ね、ハゼかけを分担して行い、効率よく作業を進めることができました。初めはうまくいかない部分もありましたが、名月会の方々にポイントを指導して頂き、その後は手際よく作業することができました。1時間半ほどの作業でしたが、その作業の大変さとともに終わった後の達成感も味わうことができました。この体験を通して、棚田の景観を守っていくことの大切さや、米づくりの苦労を知り、普段食べている食べ物への意識も変わったのではないかと思います。

オーストラリアの高校生との交流会

150924 9月24日に、オーストラリアより日本語を専攻している高校生が、研修の一環として本校を訪れました。本校には1日滞在し、歓迎セレモニーや交流授業、班活動体験などを行い、本校の中高生と交流しました。
 中学2年生は、歓迎セレモニーに参加し、イングリッシュキャンプでALTの先生に教えていただいた「Don't Stop Believin'」と、フィオナ先生に教えていただいたオーストラリアで有名な「Kookaburra song」を演奏しました。オーストラリアの高校生も一緒に口ずさんでくださり、一緒に楽しむことができました。同年代の外国の生徒と交流することができた貴重な時間となりました。

~生活記録から~
  • 3時間目にオーストラリアの人たちとの交流会がありました。僕たちが歌った「Don't Stop Believin'」と「Kookaburra song」は両方とも知っている歌だったみたいなので楽しんでくれたと思います。「Don't Stop Believin'」は、吹奏楽の演奏で盛り上がりました。「Kookaburra song」はオーストラリアの人たちと一緒に歌ったので、心が通じ合ったような気がしました。交流会の発表は成功だったと思うのでよかったです。このような機会はなかなかないので、とても楽しかったです。

持続可能な社会と科学技術


 1学年では「総合的な学習の時間(鳩学)」として、『持続可能な社会と科学技術』という特設単元を設け、下のような学習内容で能登臨海実習の事前学習を重ねてきました。

①関東大震災からの復興のありかた(~後藤新平が目指した「生活を衛る」都市構想を中心に)

②高度経済成長期における公害問題の現代的意義(~水俣病とイタイイタイ病を中心に)

 いずれも20世紀のわが国でおきた大災害(天災・人災)ですが、東日本大震災からの一日も早い復興や、放射能汚染に関連した差別・偏見の解消が大きな今日的課題となっている21世紀の現在とも重ね合う部分の多い学習であります。生徒たちは単に歴史的な事実を学ぶだけではなく、その時代に生きた人々の願いや思いに寄り添い、今を生きる自分自身の問題意識にまで学習を高めていこうとする姿がありました。この学習の概要について、生徒たちの感想をもとに紹介することで、生徒たちの成長の様子が伝われば幸いです。

 

<第2・3時:『水俣病と向き合った中学生』と向き合う>

同世代が出演するドキュメンタリー番組『水俣病と向き合った中学生』を手掛かりに、水俣病の「怖さ」の本質とは何かを生徒同士の意見交換を通じて深め、「自分にできること」を考えました。

  水俣病を知る方々が少なくなってきている今、「昔のこと」「遠くで起きた事」などという理由で他人事にせず、私たちが正しい知識を得たり、後世に伝えていこうとしたりすることが、「自分たちの問題として受け止める」ということだと思いました。今日の授業で正しい知識を得たことで、ただ「こわい」だけではなくなりました。

  無意識に差別をしている自分がいた。意識的に「見下そう」とか「いやだ」とか思っていないのに、そうしている自分がいた。たぶん「自分や普通と違うから」という理由だと思う。そのことにしっかり向き合わないと、「同じようなこと」が起こりうると思う。身近にあるいじめや差別、それが公害病であれ、いじめであれ、どれも同じだと思った。僕はその身近な差別やいじめをなくすことから始めようと思う。

  「差別」って何だろうと改めて思った。私も写真を見たときに「こわい」と思ってしまった。「『こわい』と思っても、口に出さないことが大切だ」という意見もあったが、私は、口に出さなくても、思わないようにするためには知ることが大切だと思った。

  「わたしは絶対に差別をしない」なんて、ただのきれいごとだと思う。私も含め、実際に出来る人はそうはいない。でも、患者の写真を見て出る「気持ち悪い」という言葉は、自分が罹っていないからこそ言えることだと思う。今は体験者がいても、次の世代のときにはもういないと思う。だから、私はこの時代に生まれたことの意味を考えたい。

 


<第4時:日本初の公害裁判勝訴までの道のりを学ぶ>

初めて住民側が裁判で勝利したイタイイタイ病訴訟とそこに関わる多くの人々の願いを学びました。

  島林弁護士や小松さん達は「私達の世代のために戦ってくれた」と気付いたとき、すごく有り難いことだと感じた。とても大きくお金もある大会社に立ち向かうのは大変だったと思うけれど、「子どもや孫のため」と戦って歴史を変えた人たちの勇気はすごいと思った。

  イタイイタイ病は、初めて裁判で勝てた公害裁判だったことを知って驚いた。公害はとてもいけないことなのに、それまで裁判で勝てなかったのは、当時の人々の中に、公害を認めたくない、という思いがあったからだと私は思った。産業が発達することよりも、人の命の方が大切だ。人の命がどれだけ尊いのか、改めて感じさせられた1時間だった。

  …イタイイタイ病はとても昔に起きたことだと思っていたけれど、カドミウムによって汚染された農地の土の入れ替えが終わったのがつい最近(※注2012年)なのを知り、とても驚きました。この裁判以降は多くの公害裁判が勝利できたことを知り、弁護士たちは多くの人たちを救ったのだと思いました。

<第5時:イタイイタイ病資料館見学の「めあて」を考える>

単元のまとめとして意見交換をするなかで、差別をなくすためには「正確な知識」に加え、「判断力」や「共感力」などの「理性」が必要だと気付き、資料館見学の「めあて」を各自で考えました。

  ただ聞くのではなく、聞いて考え発信することを大切にしたい。

  「これは過去のことなんだ」と片付けず、しっかり目を向けられるようにしたい。どんなに目をそむけたくても、私は最後の1秒まで心に焼き付けたいと思います。

  裁判についてもっと詳しく知りたい。最初は無理そうだったけれど、3年かけて勝訴したことにとても興味があります。