
作業中には、田んぼの中の様々な生物とも出会えました。カエルやアメンボはもとより、イモリやタニシもいました。私が子どもの頃は、田んぼと言えばカブトエビやタガメ、ゲンゴロウなどといった水生昆虫の宝庫でした。最近は農薬や外来生物などのせいなのか、これらの生物はほとんど見られなくなっています。名月会の方のお話にあったように、水田というのは単なる米の生産だけでなく、地域の生活や自然を守る役割があるのだと実感しました。また、「『米』という漢字は『八十八』と分割することができる。これは米を育てるのに、88の手間がかかるからだ。」といわれることがあります。これはお米が私たちの口に入るまでに、かなり大変な手間が必要であることのたとえの一つだと思いますが、私たち2年生が行った作業は、いわば「88分の1」にしか過ぎません。そして、もう一つの「稲刈り」を除く残りの86の手間を思いやると、日々食べているものへの感謝・畏敬の気持ちが生まれてくるような気がします。普段何気なく使っている「いただきます」という食事前の挨拶も、これからは意味深い一言になるのではないでしょうか。まして、棚田というのは大型機械を使うこともできず、一つ一つの作業が人の手による大変なものになります。さらに、それを地域の文化遺産として残すため、努力や工夫をしている方々への思いというのも、今回の体験を通してより身近に、そして実感として味わうことができたのではないでしょうか。